歯科衛生士の年収は?給与とキャリアアップの展望

#歯科衛生士 #年収 #給料
Contents
01. はじめに
02. 歯科衛生士の初任給
初任給の国内平均
地域別の違い
03. 歯科衛生士の平均年収
厚生労働省の平均統計データ
経験年数と資格が給料増加にどう貢献するか
04. キャリアアップの機会と戦略
管理職や独立開業へのステップ
フリーランスという選択肢
05. まとめ
はじめに
歯科衛生士は、国家資格を持って医療現場の最前線で活躍できる、安定性の高い専門職です。
むし歯や歯周病の予防処置、歯科医師の診療補助、患者さんへのブラッシング指導・生活習慣アドバイスなど、口の健康を通して全身の健康を支える重要な役割を担っています。
一方で、進路を考える高校生や保護者の方にとっては、
・「歯科衛生士の給料や年収はどのくらいなのか」
・「同年代と比べて高いのか・安いのか」
・「結婚・出産後も安定して働き続けられるのか」
といった「お金と働き方」に関する不安や疑問も大きいのではないでしょうか。
特に近年は物価上昇やライフスタイルの多様化もあり、「将来の収入の見通しが立つかどうか」は、進学先・就職先を選ぶうえでとても重要な判断材料になっています。
主に以下のポイントについて、順番に解説していきます。
・歯科衛生士の初任給の目安や、手取りのイメージ
・歯科衛生士の平均年収と、年齢・地域・働き方による違い
・経験年数や資格によって、どのくらい年収アップが期待できるのか
・将来のキャリアアップで、どのように収入とやりがいを伸ばしていけるのか
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」などの公的データや、求人票・現場の声を参考にしながら、数字だけでなく「将来のキャリアの描き方」もイメージしやすいようにお伝えしていきます。
これから歯科衛生士を目指す方はもちろん、すでに歯科衛生士として働いていて「今後のキャリアや年収アップを考えたい」という方にも役立つ内容になっています。
歯科衛生士の初任給

まずは、歯科衛生士として働き始めるときの「初任給」について見ていきましょう。
歯科衛生士は全国的に人材不足が続いており、求人サイトを見るといつも多くの募集が掲載されています。
こうした背景もあり、初任給(スタート時の月給)は他職種と比べると比較的高めで、新卒でも安定した収入を得やすい職種だと言えます。
新卒で初めて社会人になる方にとっては、
・実家暮らしか、一人暮らしか
・家賃や生活費を払ったうえで、どれくらいお金が手元に残るのか
・奨学金の返済や貯金がどれくらいできそうか
といったリアルなお金のイメージがとても大切です。ここでは、まず全体の「相場感」から整理していきます。
□初任給の国内平均
全国的な相場としては、歯科衛生士の初任給はおおよそ月給23〜25万円前後が中心です。
厚生労働省の統計や各種就職情報サイトのデータと、実際の求人票を見比べても、
歯科衛生士の平均初任給は大卒女性の平均初任給よりやや高めの水準で推移しており、医療系国家資格ならではの安定したスタートと言えます。
月給23〜25万円という水準であれば、ボーナス(賞与)を含めた初年度の年収の目安は300万〜350万円前後です。
ただし、同じ「月給25万円」の求人でも、内訳は職場によって大きく異なります。
例:月給25万円の内訳イメージ
A医院:基本給20万円+歯科衛生士手当2万円+皆勤手当1万円+固定残業代2万円
B医院:基本給18万円+資格手当1万円+残業代別途支給+住宅手当2万円+通勤手当全額支給
一見すると同じ25万円でも、
・残業代があらかじめ固定残業代として含まれているのか
・資格手当や住宅手当、皆勤手当など「上乗せされる手当」があるのか
・社会保険や厚生年金にきちんと加入できるのか
といった条件によって、実際の手取り金額や働きやすさは大きく変わります。
特に「固定残業代あり」と書かれている求人では、
あらかじめ○時間分の残業代が月給に含まれているケースがあるため、
「どれくらい残業が発生する職場なのか」は事前に確認しておくと安心です。
また、非常勤・パートとしてスタートする場合は、時給1,400〜1,800円前後を提示する求人も多く、
週3〜4日勤務でも一定の月収を得やすいのが歯科衛生士の特徴です。
例)時給1,600円×1日6時間×週4日勤務×4週
→ 月収の目安:約153,600円
このように、フルタイムの正社員だけでなく、パートやアルバイトでも比較的高い時給で働きやすいのは、
歯科衛生士という資格の大きな強みです。
□地域別の違い
同じ歯科衛生士の初任給でも、「どの地域で働くか」によって月給や年収は大きく変わります。
ここでは、大まかに大都市圏・中規模都市・地方都市の3つに分けて傾向を見てみましょう。
【大都市圏(東京・神奈川・大阪・愛知など)】
・初任給の目安:25〜30万円前後
・インプラント・矯正・審美歯科など、自費診療の割合が高い医院も多く、スキルや経験に応じて高めの月給が設定さ れることがあります。
・社会保険完備・産休育休制度・退職金制度・住宅手当など、福利厚生がしっかり整っている医院や医療法人が多いの も特徴です。
・新人歯科衛生士向けの研修プログラムや、院内・院外の勉強会に力を入れている職場も多く、「しっかり学びながら 成長したい」という方には魅力的な環境です。
【中規模都市(札幌・仙台・広島・福岡などの主要都市)】
・初任給の目安:23〜26万円前後
・医療法人グループに属する歯科医院や、総合病院・大学病院の歯科など、安定した運営基盤を持つ職場が多く、長期 的に働きやすい環境が整っている傾向があります。
・年間休日が多めに設定されていたり、有給休暇を取りやすい職場も多く、「プライベートの時間も大切にしたい」と いう方に向いています。
【地方都市・郊外エリア】
・初任給の目安:20〜24万円前後
・都市部と比べると月給はやや控えめですが、家賃や物価が低く、手取りベースではむしろ余裕のある暮らしができる ケースも少なくありません。
・車通勤が可能な職場が多く、通勤ストレスが少ないことも大きなメリットです。
・地域に根ざしたアットホームな医院が多く、患者さんとじっくり向き合える環境で働きたい方に向いています。
このように、歯科衛生士の初任給は「地域」「診療スタイル」「医院の規模」によって変動します。
求人を見るときは、月給だけに注目するのではなく、
・年間休日数・有給休暇の取りやすさ
・残業時間やシフトのパターン
・教育・研修体制の充実度
・通勤しやすさ・生活コスト
なども合わせてチェックし、「長く続けられるかどうか」という視点で判断することが大切です。
歯科衛生士の平均年収

次に、歯科衛生士として数年働いた後の「平均年収」について見ていきましょう。
初任給だけでなく、「経験を重ねることでどのくらい年収が上がっていくのか」は、
将来設計を考えるうえでとても重要なポイントです。
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」や各種統計データによると、
歯科衛生士の全国平均年収はおおよそ380万〜410万円前後と言われています。
・月給の目安:平均29〜31万円程度
・賞与(ボーナス):年間40〜60万円程度がひとつの目安
もちろん、これはあくまで「平均値」であり、
・都市部の自費診療中心の医院で、スキルを活かして働く
・医療法人グループの主任・チーフとして管理職に就く
・フリーランスとして複数の歯科医院をサポートする
といった働き方を選ぶことで、年収500万円以上を目指すことも十分可能です。
一方で、パート・アルバイトとして短時間勤務を選ぶ場合は、
年収は300万円未満になるケースもありますが、その分家事や子育てとの両立がしやすく、
「ワークライフバランスを重視した働き方」がしやすいのも歯科衛生士の魅力です。
厚生労働省の平均統計データ
厚生労働省が公表している「賃金構造基本統計調査」では、
歯科衛生士の賃金が年齢別・勤続年数別・企業規模別・雇用形態別など、さまざまな角度から集計されています。
ここでは、進路選びや転職を考える際に役立つポイントをいくつかピックアップしてご紹介します。
【年齢別の傾向】
□20代前半
・新卒〜数年目の時期で、年収は300万円台前半が中心。
・基本的な診療補助・予防処置を習得しながら、社会人としての土台を固めていく段階です。
□20代後半〜30代前半
・仕事にも慣れ、担当制の導入や後輩指導を任されることも増えてきます。
・年収は350万〜400万円前後まで伸びていくケースが多く、昇給や賞与のアップも期待できます。
□30代後半〜40代
・主任・リーダーとして活躍する人も増え、医院の運営や教育にも関わることが多くなります。
・年収は400万〜500万円台に乗るケースも見られ、キャリアの安定期に入る時期です。
□40代後半〜50代
・役職や専門性によっては、年収500万円を超えることもあります。
・これまで培ってきた経験を活かして、教育担当やマネジメントに力を発揮する人も多い時期です。
【企業規模・勤務先による違い】
・スタッフ数の多い医療法人や総合病院、大学病院などは、基本給や賞与が比較的高めに設定される傾向があります。
・個人経営の小規模クリニックは、アットホームな雰囲気や勤務時間の融通が利きやすい一方で、年収水準はやや控え めなケースもあります。
・訪問歯科や予防歯科を中心とした専門クリニックでは、自費診療の割合が高く、実績や担当患者数に応じて年収が大 きく伸びる場合もあります。
【パート・短時間勤務の歯科衛生士】
統計では、短時間勤務の歯科衛生士の平均時給はおおむね1,800〜2,000円前後とされています。
例)時給1,900円×1日5時間×週3日×4週
→月収の目安:約114,000円
このように、週数日の勤務でも、一般的なアルバイトに比べると高い時給で働くことができ、
「家計のサポートをしながら、資格も活かしたい」という方には非常に相性の良い働き方です。
経験年数と資格が給料増加にどう貢献するか
歯科衛生士は、「経験を積めば積むほど給与が上がりやすい」職種です。
ここでは、経験年数と年収アップの関係をイメージしやすいよう、モデルケースとしてまとめてみます。
【経験年数別のモデル年収イメージ】
□1〜3年目
・年収300〜380万円
・基本的な診療補助・スケーリング・PMTC・TBIなどを一通りこなせるようになる段階です。
□4〜6年目
・年収350〜420万円
・担当制の導入や、後輩の指導・育成を任されることも増えてくる時期です。
・セミナーや勉強会に参加し、歯周治療やメインテナンスのスキルを高めることで、ステップアップしやすくなりま す。
□7〜10年目
・年収400〜480万円
・医院全体を見渡し、カウンセリングや治療計画の説明など、患者さんとのコミュニケーションの中心的な役割を担 うことも増えてきます。
□主任・リーダー職
・年収450〜550万円以上
・スタッフマネジメントや新人研修、院内システムの改善など、医院運営に深く関わるポジションです。
さらに、以下のような専門資格やスキルを身につけることで、
資格手当や役職手当として月1〜5万円程度が上乗せされるケースもあります。
- 日本歯周病学会認定歯科衛生士
- 小児歯科学会関連の資格
- 口腔ケア・摂食嚥下リハビリテーションに関する資格
- インプラントアシスタント・矯正歯科専任のスキル
- ホワイトニング・審美歯科分野での専門スキル など
特に予防歯科・自費診療を重視する医院では、こうした専門スキルを持つ歯科衛生士が高く評価され、給与アップやキャリアアップに直結しやすい環境が整っています。
キャリアアップの機会と戦略

歯科衛生士のキャリアアップは、「年収を上げる」という意味だけでなく、
自分らしい働き方ややりがいを見つけるうえでも非常に重要です。
ここでは、代表的なキャリアパスとして
- 管理職・リーダー職としてステップアップする
- 独立・開業に近い形で、自分の専門性を活かす
- フリーランスとして複数の職場で活躍する
といった方向性を中心に紹介します。
管理職や独立開業へのステップ
一定の経験を積んだ歯科衛生士は、主任・チーフ・マネージャーといった管理職ポジションに進むことがあります。
管理職の歯科衛生士は、単に自分のユニットを担当するだけでなく、医院全体の運営に関わる重要な役割を担います。
【歯科衛生士(管理職)の主な役割】
・新人・後輩スタッフの教育・指導
・シフト作成や予約枠(アポイント)の管理
・予防プログラムやメンテナンスの仕組みづくり
・院内勉強会や外部セミナーの企画・運営
・患者満足度の向上を目的としたサービス改善の提案
・院長や本部との連携、数値管理のサポート など
こうした役割を任されるようになると、基本給のアップに加えて役職手当が支給されるケースも多く、年収が450〜550万円前後に達することもあります。
また、医療法人グループの本部スタッフや教育担当、エリアマネージャーといったポジションへのキャリアチェンジが可能な場合もあり、一般的な歯科医院の枠を超えたキャリアを描くこともできます。
近年では、歯科衛生士が中心となって「予防専門ルーム」や「口腔ケアサロン」を立ち上げるケースも増えています。
・歯科医院内の一部門として、歯科衛生士主体の予防フロアを運営する
・高齢者施設や在宅患者さんを対象に、訪問口腔ケアサービスを展開する
・セミナー講師や講演活動を通して、地域の健康づくりに貢献する
など、歯科衛生士の知識とスキルを土台にしながら、半分「独立」に近い形で活躍している方もいます。
将来的に管理職や独立に近い働き方を目指す場合は、次のような点を意識しておくと良いでしょう。
・予防歯科やメンテナンスに力を入れている医院を選ぶ
・学会やスタディグループ、セミナーなどに積極的に参加する
・患者さんやスタッフとのコミュニケーションを大切にし、信頼関係を築く
・診療だけでなく、医院の経営面(数字・仕組み)にも関心を持つ
こうした意識を持って働くことで、自然とキャリアアップのチャンスをつかみやすくなるはずです。
フリーランスという選択肢
ここ数年で注目が高まっているのが、「フリーランス歯科衛生士」という働き方です。
特定の歯科医院に正社員として所属するのではなく、複数のクリニックや施設と業務委託契約を結び、自分のスケジュールに合わせて勤務日を決めるスタイルが一般的です。
【歯科衛生士(フリーランス)の特徴】
・日給の目安:1日あたり1.5〜2.5万円前後
・月20日程度勤務した場合、年収にすると400〜600万円台をめざすことも可能
・インプラントや矯正、訪問歯科、口腔ケア指導など、専門スキルを持つ人ほど高単価になりやすい
・自分で働く曜日・時間帯を調整しやすく、プライベートとの両立がしやすい
一方で、フリーランスには次のような注意点もあります。
・社会保険や年金、各種保険を自分で手続き・負担する必要がある
・有給休暇や賞与(ボーナス)は原則なく、「働いた分だけ収入になる」仕組みである
・契約内容の交渉・請求書の発行・確定申告など、事務的な作業も自分で行う必要がある
そのため、フリーランスとして独立するのは、一定の臨床経験と専門スキル、自己管理能力が身についてから挑戦するのがおすすめです。
それでも、
・子育てと両立しながら週3日だけ働きたい
・得意分野(予防・矯正・インプラントなど)を活かして複数の医院をサポートしたい
・将来的に独立や開業に近い働き方を視野に入れている
という方にとって、フリーランスは非常に魅力的な選択肢のひとつと言えるでしょう。
まとめ
ここまで、歯科衛生士の初任給・平均年収・地域差・経験年数や資格による年収アップ、そしてキャリアアップの方向性について詳しく見てきました。最後に、ポイントを整理しておきます。
【歯科衛生士の給与・年収のポイント】
・初任給は全国平均で月給23〜25万円前後と、他職種と比べても比較的高めの水準からスタートできます。
・平均年収はおおよそ380万〜410万円前後で、経験や勤務先によっては年収500万円以上を目指すことも可能で す。
・都市部は初任給・年収ともに高めですが、地方は生活コストが低く、働きやすさを重視した職場も多くあります。
・経験年数を重ね、専門資格やスキルを身につけることで、給与アップやキャリアの選択肢が広がります。
・管理職・独立に近い働き方・フリーランスなど、自分のライフスタイルに合わせた多様な働き方を選べるのも大きな 魅力です。
歯科衛生士は、「一生ものの国家資格」を活かしながら、ライフステージに合わせて働き方を柔軟に変えていくことができる職業です。
・若い時期はフルタイムでしっかり働いてスキルを磨く
・結婚・出産期にはパート勤務に切り替えて家族との時間を大切にする
・子育てが落ち着いたら、再びフルタイムやフリーランスとして活躍の場を広げる
といったように、人生の節目ごとに働き方を選び直せるのは、歯科衛生士の大きな強みと言えるでしょう。
東京医学技術専門学校では、歯科衛生士として活躍するための知識・技術だけでなく、将来のキャリアや働き方まで一緒に考えていける環境づくりを大切にしています。オープンキャンパスでは、在校生や教員から直接話を聞いたり、実習体験を通して、歯科衛生士の仕事のやりがいや雰囲気をリアルに感じていただけます。
▼東京医学技術専門学校のオープンキャンパスはこちらから▼
https://www.tokyo-igaku.com/opencampus/
本コラムが、歯科衛生士を目指す皆さんの進路選びや、将来の年収・キャリアを考えるうえでの参考になれば幸いです。
ほかにも歯科衛生士に関するコラムを多数ご用意していますので、ぜひあわせてご覧ください。
今回は「歯科衛生士の年収は?給与とキャリアアップの展望」について紹介いたしました!
他にも多数コラムを用意しているので、是非チェックしてみてください。

